活動報告

関空島連絡橋へのタンカー衝突事故は防ぐことができた

[活動報告]2019/05/17 更新

5月15日、衆議院国土交通委員会にて、船舶油濁損害賠償保障法の一部改正案について質問に立ちました。

この間、海難事故により流出した油や難破物の処理について、船舶所有者の瑕疵により、保険会社から保険金が支払われず、地方公共団体が費用を肩代わりする事例が生まれていました。船舶油濁損害賠償保障法の改定により、被害者は直接保険会社に費用を請求することが可能となります。

2013年に青森県深浦沖で座礁したカンボジア籍の燃料油汚染事案では、船舶所有者の保険契約違反により、保険会社から保険金支払われず、青森県が油防除などの費用約5千万円を負担していました。今回の法改正により遡及して請求できるかと確認しましたが、海事局からはできないとの答弁が返ってきました。

そこで私は、外国船舶油等防除対策費補助金について補助要件や採択基準を確認し、支払った額の2分の1を補助できる可能性を問うたところ、「対象になる」との答弁がありました。私からは青森県に対して制度周知を行い、ぜひとも相談に乗ってあげてほしいと要望しました。

続いて、昨年9月の台風21号により引き起こされた関空島連絡橋への油タンカー衝突事故について質問しました。油の流出はなかったものの、連絡橋が破損したことにより、約8千人もの利用者が関空島で孤立した問題です。暴風によりタンカーが走錨(錨を降ろしたまま船が流される)したのです。

海上保安庁は従来より「走錨防止・五箇条」を発表しており、関空島の陸岸から3マイル(約5.5キロ)離した場所に錨泊(錨を降ろして停泊)してほしいと関係者に周知していたと言います。しかし、運輸安全委員会はそのことが運行管理者や船長に伝わっていなかったと報告しているのです。

台風当時、海上保安庁は自動船舶識別装置(AIS)により、関空島の3マイル以内に錨泊船が衝突したタンカーも含め、13隻もあったことを認識していたのです。にもかかわらず退避行動を指示していなかったことが質疑で明らかになりました。

有識者から提言を受けた海上保安庁は、海上交通安全法の規定により、台風時に関空島のエリアについて航行制限を設けて再発防止に取り組むとしています。しかし、当初から「走錨防止・五箇条」の周知を徹底し、退避行動を指示していれば、連絡橋衝突事故は防ぐことができたかもしれません。

海上保安庁の当事者意識が希薄だったと批判されても仕方がありません。海上の安全航行を船会社や船主任せにせず、必要な法整備に加え、事故を防止するために積極的な指導と監督が求められていると思います。なお、油賠法の一部改正案は、全会一致をもって採択されたことをご報告いたします。