国会質問データ

198-衆-国土交通委員会(2019/06/12)

[国会質問データ | 活動報告]2019/07/29 更新

清水氏 横浜の事故受け強調

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(写真)質問する清水忠史議員=12日、衆院国交委

 日本共産党の清水忠史議員は12日の衆院国交委員会で、横浜シーサイドラインの逆走事故に関わって、事故の原因究明と再発防止を求めるとともに政府の「鉄道における自動運転技術検討会」の議事録や配布資料が公開されていない問題を追及しました。

 清水氏は、今回の事故をうけて、国民の間に鉄道の自動運転への不安が広がっていると指摘。それなのに、「検討会」の目的には、既存の鉄道事故の防止や軽減は入っていないと述べ、「事故を受けて、自動運転の規制緩和ではなく、事故防止について検討するべきだ」と主張しました。

 清水氏は、「検討会」の議事録などが未公開だとし「国民に開かれた議論をするべきだ」と強調しました。国交省の蒲生篤実鉄道局長は、資料の公開は「委員の了解を得て検討する」、議事概要は「公開する方向で検討する」と答えました。

 清水氏は、「検討会」が今年度中に中間報告をまとめることについて「自動運転を拡大しようということで行うことは時期尚早だ。結論ありきではなく慎重であるべきだ」と述べました(赤旗2019/6/28)。

議事録

○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。
 航空法及び運輸安全委員会設置法の一部改定案について質問をさせていただきます。
 法案の質疑に入る前に、六月一日に発生した横浜シーサイドラインの列車逆走事故について質問したいと思います。
 今回の事故では、十四名の方が重軽傷を負われたと報道されております。被害に遭われた方々に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。
 初めに、鉄道局より、この事故の概要について簡潔に説明願えるでしょうか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
 六月一日二十時十五分ごろ、横浜シーサイドライン新杉田駅におきまして、新杉田発並木中央行きの自動運転列車が、本来進むべき方向とは逆の方向に走行して車どめに衝突する事故が発生し、十四名の方々が骨折や打撲等のけがをされました。
 事故の原因につきましては、現在、運輸安全委員会等におきまして調査中でございますが、横浜シーサイドラインによれば、折り返し駅である新杉田駅におきまして、ATO、自動列車運転装置の地上側の装置から進行方向を切りかえる指示が出ていたにもかかわらず、当該列車は進行方向を変えずに走行し、車どめに衝突したとのことでございます。
 このように、今回の事故では、ATOに何らかの異常が発生したことが想定されていることから、横浜シーサイドラインでは、当分の間、ATOを用いず、ATC、自動列車制御装置を用いた運転士による運転により、四日午前十一時より運転を再開しているところでございます。
 以上でございます。
○清水委員 運営会社の話によりますと、運行制御の回路が切断されていたとか、あるいはシステムそのものに欠陥があったというふうにも言われております。大変重大な事故だということです。
 シーサイドラインと同様に無人の自動運転をしている新交通システムは、このほかに六事業者七路線あるわけで、影響は重大だと思うんですね。事故の原因究明を早急に求めたいと思います。
 気になるのは、今回の事故について、シーサイドラインの三上社長が、逆走することは全く想定していなかったというふうに述べておられるんです。無人運転の車両が逆走するということを、国土交通省としても、これは想定していなかったんでしょうか。
○石井国務大臣 今回の事故では、横浜シーサイドラインによれば、ATO、自動列車運転装置の地上装置から車上側の装置に進行方向を切りかえる指示が出ていた、これを受けて、車両側では前照灯、尾灯が正常に点灯し、進行方向を切りかえる指示は車両に伝わっていた、一方、車両の進行方向を伝える回路に断線があり、モーター制御装置には進行方向が切りかわった情報が伝わらず、折り返す前の進行方向へ逆走したとのことであります。
 このように、ATOの地上装置と車上側の装置との間では進行方向の切りかえに関する情報は伝達されていたにもかかわらず、モーター制御装置には伝わらなかったという事象は、これまでの調査によれば、我が国においては前例がない初めての事象であります。
 このため、国土交通省といたしましては、六日、横浜シーサイドラインと同様に無人による自動運転を行っております鉄軌道事業者七社を集めまして、今回の事故に関する情報の共有や、事故防止に関する意見交換等を行ったところでございます。
○清水委員 前例がないということで、国交省としても想定していなかったということだと思います。しかし、実際に列車が逆走するという重大事故が起こったわけです。多くのけが人が出ていますし、この路線の利用者も代替輸送の利用を余儀なくされ、混乱を招いたわけです。想定外ということで本当に済まされるんでしょうか。
 六月四日付東京新聞も、「無人運転の場合はあらゆる事態を想定し、自動停止で事故を防ぐ機能が必要不可欠」との社説を掲載しています。
 無人による自動運転については、もとより、あらゆる事態を想定した安全対策が必要であり、国としてもやはり反省が求められるというふうに思うんですよね。
 今、七事業者を集められて協議会を立ち上げるというお話をされたんですが、いずれもこれは事故を受けての対応についての答弁だと思うんですね。私が確認したのは、やはり、前例がないということだけで、運転士のいない列車を走らせるということ自体について、あらゆる事故を想定しておく必要があったのではないかということだと思うんですね。
 その点について、今後も想定外では困るわけですから、七事業者集めて協議会を立ち上げるのも重要ですけれども、あらゆる事態を想定するということが必要だと思うんですが、この見地はいかがでしょうか。
○石井国務大臣 今回の事故は、ATOの地上装置と車上側の装置との間では進行方向の切りかえに関する情報は伝達されていたにもかかわらず、モーター制御装置には伝わらなかったという、我が国においては前例がない事象であります。
 我が国の鉄軌道では、このような前例のない事象が発生した際には、その原因を徹底的に分析をし、さまざまな再発防止対策を講じることによりまして、鉄軌道の安全性、信頼性の向上を図ってまいりました。
 今回の事象につきましても、運輸安全委員会での調査の状況等も踏まえながら、無人の自動運転を行っております鉄軌道事業者や研究機関等の関係者から成る協議の場を六月の十四日に立ち上げまして、再発防止対策の検討等を進める予定であります。
 国土交通省といたしましては、このような協議の場などを活用しながら、鉄軌道の安全輸送の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○清水委員 前例がないから事故が起こっても仕方がないという立場ではなくて、やはりあらゆる事態を想定して事故防止に取り組んでいただきたいと思います。
 さて、石井大臣は四日の会見で、鉄道における自動運転技術検討会を立ち上げて検討を進めると述べられました。しかし、こういう事故が起こったもとで鉄道の自動運転の導入を更に拡大するということは、果たしていいのかということについては首をかしげざるを得ません。
 お伺いしたいんですが、この検討会では、既存の新交通システムにおける鉄道事故を防止するとかあるいは軽減したりするということが議論されたり、この検討会の目的に入っていたりしたのかどうか、この点について、これは鉄道局長に伺いたいと思います。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国は、本格的な人口減少社会を迎え、鉄道分野におきましても、運転士の確保、養成が困難になってきております。特に経営環境や人口減少の厳しい地方鉄道においては深刻な問題となっていること等に鑑みれば、省力化により生産性の向上に資する自動運転の導入は重要な課題であると認識しております。
 このため、国土交通省では、昨年十二月に、踏切がある等の一般的な路線での鉄道の自動運転の技術的な要件を検討するため、鉄道における自動運転技術検討会を立ち上げ、検討を行っているところでございます。
 同委員会におきましては、一般の鉄道路線の自動運転において必要となると考えられるATO、自動列車運転装置の機能等につきましても検討することを予定しておりますが、この検討に当たりましては、今回のような事象等も踏まえつつ検討を進めることが必要になると考えているところでございます。
 以上でございます。
○清水委員 もともと、この検討会の目的に当初安全対策等については含まれておらず、結局、無人による自動運転を拡大していくということが前提だということだと思うんですね。
 検討会の目的、今言われましたように、もともと、この七事業者八路線については、一定の条件が設けられています。高架であること、それからホームドアがあること、これによってみだりに人が入らない、あるいは踏切がない、こういうところにおいてはいわゆる無人による自動運転を行ってきたわけですが、この鉄道における自動運転技術検討会では、そういう条件を乗り越えて、いわゆる踏切がある、高架でない、ホームドアがない、そういうところでも無人の自動運転列車を走らせることができるようにできないかということを検討しているということだというふうに思うんですね。
 実際、既にJR東日本では、山手線で、ドライバーレス、いわゆる無人運転、この試験を去年とことしにわたって行っております。
 結局、今この検討会でやられているのは、安全性を担保するための規制を外そうというものだと思うんですね。今回の事故を受けて、無人による自動運転の規制緩和ではなくて、事故防止についての検討を盛り込むということが極めて大事だと思うんですね。
 今後、今回の事故を受けて、検討会でも対応していくというふうに局長は述べられたんですが、加えて言えば、この検討会は、そこで何が議論されているかわからないんですよね。ホームページを見ましても議事概要もありませんし、そういう点では、何が議論されているのかはわからない。議事録も公表されていません。会議で配付された資料さえ国民に公開されてこなかったわけなんですね。
 このような事故が起こったのに、無人による自動運転を更に拡大しようという議論を行う検討会で一体何が議論されているのか国民がわからないとなれば、一層これは不安が高まるばかりだというふうに思うんですね。
 やはり国民に開かれた議論にするべきだということと、そして、事故を受けて、自動運転の規制緩和ではなく、事故防止についての検討についてしっかりと協議をしていく、検討していくということが必要だと思うんですが、この二点について、石井大臣、どのように思われるでしょうか。
○石井国務大臣 前半の方は、後ほど鉄道局長に答弁をさせます。
 私は後半の方をお答えいたしたいと思いますが、自動運転技術検討会におけます一般的な路線での鉄道の自動運転の検討につきましては、まずは、本件事故に関する原因究明の状況等も踏まえつつ、鉄道輸送の最大の使命である安全の確保を大前提として進めてまいりたいと考えております。
○蒲生政府参考人 検討委員会におきます検討内容等、資料に関しましても公開されていないという御指摘をいただきました。
 このような御指摘を踏まえまして、今後、そういった資料については、外に出せるものに関してはしっかり公開したいと思っておりますし、今まで行ったものに関しましても、ホームページの方へのアップということをさせていただきたいと思っております。
○清水委員 初めに、今の鉄道局長の答弁ですけれども、例えばこれまでも、鉄道局が所管する検討会、都市鉄道における利用者ニーズの高度化等に対応した施設整備促進に関する検討会、あるいは東京圏における国際競争力強化に資する鉄道ネットワークに関する検討会、いずれもホームページに上がっておりまして、議事概要、それから配付資料、全てこれは公開されているんです。
 ところが、今私が指摘しましたように、鉄道における自動運転技術検討会については、議事概要も配付資料もなかったわけなんですね。
 私の事務所の方から、せめて資料については公開するべきではないかということで、政府が配付した資料についてはいただくことができましたし、順次公開していくということなんですが、やはり、同様の検討会と同じように、議事録を出すのが一番いいんですけれども、せめて議事概要や、あるいは委員の方々が配付された配付資料についても、これはやはり国民に公開する。
 もちろん、これまで一回、二回と行われてきたことについては、委員の方々との申合せもあるので、遡及して公開するかどうかについては検討が必要だと思うんですが、中間取りまとめを今年度中に出すという仕事をされているわけですから、そういう点においては、今後については、委員がお配りされた資料も含めて公開をする、議事概要についてはせめて公表する、これは約束していただけませんか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
 委員がお出しになられた資料に関しましては、委員の御了解が必要になるというふうに考えておりますので、委員の御了解を得た上で、どうするかという形で検討してまいりたいと思います。
 なお、議事概要に関しましては、概要でございますので、それに関しましては公開する方向で検討したいと思っております。
○清水委員 よろしくお願いいたします。
 大臣がお答えになられたことについて一言申し上げると、今回の事故を受けて、無人による列車の自動運転、これについて、やはり国民の不安、懸念というのが大きく高まっております。一方で、新交通システムを運営している会社の協議会を立ち上げて、安全対策、事故再発防止、そして原因究明をやる。一方で、国交省が、無人による自動運転を更に拡大しようということを進めていく。これは果たして両立するのかどうかというところが非常に問題になっているというふうに思うんですよね。
 そういう点では、先ほども言いましたけれども、検討会が今年度中に、いわゆる規制緩和で更に無人による自動運転を拡大しようということについての取りまとめを行うというのは、これはやはり時期尚早というふうに私は思いますし、結論ありきではなくて、慎重であるべきだというふうに思います。
 さらに、無人の自動運転という点では、リニア新幹線も無人なんですよね。リニアの場合は、時速五百キロという超高速運転ですから、これは事故が起これば大惨事になりかねないわけです。事故原因の究明と再発防止の明確化、そして安全の確保という前提抜きに、このような高速列車を無人で走らせるということはあり得ないというふうにも思いますので、このことを指摘し、法案に入らせていただきたいと思います。
 初めに、予備品証明検査についてです。
 航空機及び装備品の整備、検査、これは何のために行うのか、航空局長、簡潔にお答えいただけますでしょうか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
 航空法におきましては、航空機の安全・環境基準への適合性を確保するために、国が原則一機ごとかつ一年ごとに耐空証明検査を行うとともに、その間に航空機使用者が航空機の性能等に大きな影響を与える修理又は改造を行う場合には、国が修理改造検査を実施することとしております。
 予備品証明制度は、国が、エンジンやプロペラ等の一部の重要な装備品について、あらかじめ安全性を確認した装備品を用いて航空機の修理をする場合に、国による修理改造検査を省略することができることとするものでございます。
○清水委員 要するに、旅客を安全に輸送するため、そして航空機材の安全性を含む信頼性を維持向上させるために、航空機及びその装備品の整備、検査が行われているということだと思うんですね。耐空証明も含めて、そうだと思います。
 本法案は、これまで国土交通大臣が航空機のエンジンやプロペラなどの重要装備品について一点ごとに直接検査する、予備品証明検査を廃止しようというものです。このベースになっている「国産航空機の運航開始を見据えた今後の航空機検査制度のあり方について 航空機検査制度検討小委員会とりまとめ」を拝見しますと、この予備品証明検査の廃止の理由の一つに、「航空機使用者の立場に立つ」とか、あるいは「航空機使用者にとって大きな負担」などの文言が散見されるわけです。
 しかし、航空機及び装備品の整備、検査が旅客の安全確保や機材の安全性の維持向上ということであれば、検査制度の見直しはその目的に沿って検討がしかるべきであり、事業者だとか航空機使用者の立場におもねるという法改定が果たして妥当かどうか、ここは慎重に議論が求められるというふうに思うんですね。
 なぜ、検査を受ける側である、する側じゃなくて、される側である航空機使用者側の要求に沿ってこの検査制度を見直すのか、ここが問題だと思うんですね。
 先ほど来、局長は、今後は、国土交通省が能力を認定した事業場が、装備品の製造、修理又は改造の作業開始から作業完了まで一貫して安全基準への適合性を確認することにより装備品等の安全性を確保したいと答えられてきたわけですが、その認定事業場のIHIだとかジャムコでこれまで不正があったわけです。それを航空検査官が見抜くことができなかったという事例が、これまであったわけですよね。
 そこで質問なんですが、この取りまとめの中に、予備品証明検査廃止の理由の一つとして、こう書かれているんです。「航空機使用者の立場に立つと、機材不具合等で急遽「重要装備品」の交換が必要となった場合、国の「予備品証明」を受けるまでは航空機に装備することができず、その間の運航便の遅延や欠航等の恐れがある」、こう記述されているんです。
 これは航空局もそのように答弁してきたと思うんですが、そこで伺います。予備品証明が要因となって運航便の遅延あるいは欠航がこれまでどの程度起こったのか、直近五年間の状況で結構ですので、お答えください。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
 大手航空会社に確認をいたしましたところ、直近五年間で国の予備品証明の検査待ちによって運航便の遅延や欠航等が発生した事例はなかったと承知しておりますが、これは、運航停止などの国民生活への影響を考慮し、航空会社が、予備品証明を受けた予備品をあらかじめ多目に保管しておいたり、緊急時においては、休日、夜間であっても予備品証明検査の受検を国宛てに要請し、これに国も可能な限り対応しているためであると考えております。
○清水委員 今答弁されたのをお聞きしますと、そういう事例はないということなんです。
 なぜそういう事例がなかったかということについても、いわゆる航空会社の努力によってそれが担保されてきたと。これは、この予備品証明を廃止するということの理由に挙げるというのは不適当ではないですか。
 航空検査制度検討小委員会には航空局も多数参加されていたわけです。そういう点では、運航便の遅延だとか欠航が起こるので予備品証明を廃止するというのは理由になりませんよということを、なぜこの検討会で指摘しなかったんですか、航空局は。そこをちょっと知りたい。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申しましたように、御指摘の点につきましては、運航停止などの国民生活への影響を考慮して、航空会社が予備品証明を受けた予備品をあらかじめ多目に保管しておいたり、緊急時において、休日、夜間であっても予備品証明検査の受検を国宛てに要請し、これに国も可能な限り対応しているためであると考えております。
 実際に、大手航空会社では、このような緊急的に予備品証明検査を受けている事案が年間二十件程度発生をしておりまして、運航便の遅延や欠航のおそれはあり得るものと考えております。
 こうした状況も踏まえまして、御指摘のありました本小委員会では、関係業者からのヒアリングや、あるいは学識経験者、有識者により航空機検査制度の見直しについて議論をされた結果、装備品の安全規制の対象を全ての装備品等に拡大するとともに、国際的な枠組みである、民間事業者の能力を認定し安全性確認を行わせる制度に一本化をし、予備品検査証明を廃止すべきとの取りまとめがなされたということでございます。
 国土交通省といたしましては、こうした委員会の取りまとめも踏まえまして、国際的な安全規制の方向性、航空機使用者のニーズ、航空機産業の発展性等を総合的に勘案をして、今回の航空法改正案を提出させていただいたものでございます。
○清水委員 無責任だと思うんですよ。その理由については後で述べますけれども。
 次の質問に行きます。
 次に、航空機の耐空証明についてです。
 これは自動車でいう車検に相当するわけですが、現行は、整備体制のある航空会社は、国の一年ごとの更新検査が免除され、連続式の耐空証明となっています。
 この法案は、エアライン以外であっても、十分な整備能力を有すると認められる場合は航空機の耐空証明の有効期間を延長できるとして、連続式耐空証明制度の対象を広げようというものなんですね。
 このベースになっているのも「航空機検査制度検討小委員会とりまとめ」なわけなんですが、この連続式耐空証明を取得していたNCA、日本貨物航空で、昨年七月に整備不正が明らかになっています。
 この不正が明らかになった時期というのは、まさしくこの小委員会の開催期間中ですよね。これは、イエスかノーかでお答えいただけますか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、日本貨物航空による不適切な整備が発覚したのは平成三十年四月十八日でありまして、航空機検査制度等検討小委員会の開催期間中でございました。
○清水委員 開催期間中にNCAの不正が明らかになったわけなんですね。その不正の内容について、小委員会は熟知できる環境にあったわけです。
 本来ならば、小委員会で、こういう事例が出てきているのに、連続式取得をしているNCAで不正があった、それを更に拡大して大丈夫なのかとか、あるいは、NCAの不正にかかわる調査が終わるまでは小委員会の取りまとめは延期するべきではないかなどの意見が出なければおかしいというふうに思うんですね。
 先ほどの予備品証明を廃止するという理由、これも立法事実になるのかどうか、あるいは、今議論がありましたNCAの不正が発覚した時期の問題、こういうことを踏まえたら、航空局はこの検討会でやはりイニシアを発揮して、こういう事例が発覚している、これは廃止をする理由にならない、そういう指摘をするべきだったにもかかわらず、いわゆる航空機使用者あるいは事業者の立場におもねるという状況を繰り返してきた。
 これで本当に空の安全、航空行政を守ることができるんでしょうか。余りにも主体性がないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
 本小委員会では、学識経験者や民間有識者により議論された結果、航空運送事業機以外の航空機であっても、航空運送事業者と同等以上の整備能力を有する者に対しては、航空運送事業機と同様に耐空証明の有効期間の延長を検討するべきであるとされました。
 国土交通省としては、航空運送事業者以外の航空機使用者の耐空証明の有効期間の延長に際して、当該航空機に対する十分な整備能力を有することを担保するため、航空運送事業者と同様に、当該航空機の整備方法やその管理方法を具体的に記載した整備規程を作成し、国の認定を受けることを求めることといたしております。
 また、整備規程を認定し、耐空証明の有効期間を延長した後も、航空機使用者に対して、整備の実施状況を含めた航空機の安全性の維持の状況について定期的な報告を求めるとともに、航空機使用者及び整備を実施する認定事業場の双方に対して航空法に基づく立入検査を実施することにより、整備規程に従って適切に整備が実施されることを国が定期的かつ継続的に確認するという形で今回の制度改正をお願いしているところでございます。
 御指摘の日本貨物航空の件につきましては、航空運送事業者として、従来の制度に基づき、延長された耐空証明を保持してまいりましたけれども、昨年四月に発覚した不適切な処置事案により、国は、事業改善命令及び業務改善命令を発出し、保有する全ての航空機に対し、耐空証明の有効期間の延長を取り消し、有効期間を一年に短縮する措置をとりました。
 このような相当の不正事案が認められた場合には、日本貨物航空と同様に、今後も耐空証明の有効期間の短縮などの措置をとることで個別の事案ごとに厳正に対処してまいりますが、今回の改正によりまして、耐空証明の延長措置の対象を拡大した航空運送事業者以外の航空事業者についても十分な整備能力があるかどうかしっかりと確認をし、航空機の安全性が低下することのないよう、引き続き、航空機使用者及び認定事業場に対する監視、監督を強化して、安全を確保してまいりたいと考えております。
○清水委員 いろいろ言われましたが、不正があった事業場に対して連続式を取り消すというのは、それはもう当然の措置であって、私が述べたのは、そういう事例が起こっているにもかかわらず、何の関心も払わずに、連続式の対象を拡大するという取りまとめを見逃すということについて責任を感じないのかということを指摘したいわけですね。
 先ほど来、予備品証明の問題につきましても、いわゆるエンジンだとかプロペラなどの重要装備品だけではなく、全ての装備品を検査するというふうに胸を張られるんですが、それは国が直接検査するんだったらいいですよ。それを事業場に任せると。その事業場で不正があったわけだが、それも見抜けなかった、ここに対する私は反省が全くないのではないかなというふうに思うんです。
 それで、最後に、ここまでの議論を受けて、石井大臣にお伺いしたいと思うんです。
 本法案では、航空機とその装備品に対する国の直接検査を廃止あるいは縮小、緩和するということになるわけですが、民間事業者で不正が相次いで起こっている中で、更に民間に委ねて空の安全が守れるのか、こういう不安が国民の中に広がっていると思います。
 今回のような事業者におもねる規制緩和が、これまでの不正防止や航空機の安全確保につながるとは私は思えません。空の安全を守るためには、現行どおり、国による直接検査と監督を更に強化することこそ必要ではないかと思うんですが、お答えいただけますでしょうか。
○石井国務大臣 今回の装備品に関する制度改正の趣旨は、さらなる航空機の安全性の向上のため、装備品の安全規制の対象を一部の重要な装備品から全ての装備品等に拡大するとともに、国際的な枠組みである、民間事業者の能力を認定をし安全性確認を行わせる制度に一本化するものであります。
 今般、認定事業場に不適切事案が発生したことを受けまして、法律改正に加え、従来は事前に通告をしておりました国の認定事業所に対する随時検査を今後は原則抜き打ちで実施するとともに、認定事業所が実施した検査記録の裏づけまで確認するなど検査方法を見直す、認定事業所に対して業務量に応じた適切な人員配置がなされているか定期的報告を義務づけるなど、管理体制を強化するといった運用面での抜本的な見直しを実施をし、認定事業所に対する監視、監督を強化をしてまいります。
 また、耐空証明の有効期間の延長措置は、従来、十分な整備能力を有すると認められる航空運送事業者のみに対して認めておりましたが、今般、航空運送事業者と同等の整備能力を有する者であれば、同様の延長が可能となるよう措置するものであります。したがって、十分な能力を有しない場合は、航空運送事業者でありましても、国は、従来どおり、一年ごとに耐空証明検査を実施をし、航空機の安全性を確認をいたします。
 さらに、耐空証明の有効期間の延長に際しましては、事前に国が十分な整備の実施体制を確認するとともに、耐空証明の有効期間を延長した後も、航空機使用者に対して、整備の実施状況を含めた航空機の安全性の維持の状況について定期的な報告を求め、航空機使用者及び整備を実施する認定事業場の双方に対して航空法に基づく立入検査を実施することによりまして、適切に整備が実施されていることを国が定期的かつ継続的に確認することとしております。
 今般の制度改正後も、引き続き認定事業場や航空機使用者に対する監視、監督を厳正に行うことによりまして、航空機の安全確保に万全を期してまいります。
○清水委員 時間が来ましたので終わりますが、事業者の要請に応じた検査手続の簡素化ではなく、より多方面から安全対策を充実させる航空政策こそ利用者や国民の支持を得られると指摘をして、質問を終わります。
 ありがとうございました。