活動報告

シンポジウム「死刑廃止の実現を考える日」に参加

[活動報告]2016/12/27 更新

19日夜、案内を受け、日本弁護士連合会主催のシンポジウム「死刑廃止の実現を考える日」に参加しました。

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死刑制度を廃止するか、存置するかはとても難しい問題です。今年10月、日本弁護士連合会が人権擁護大会において、2020年までに死刑制度の廃止を目指すことを決めました。このことに対する批判も起こり、決議する際に棄権したり反対したりした弁護士もたくさんいました。

国民世論を見ると、死刑制度を存続させるべきと考えるひとが多いことも事実です。犯罪者の人権を言う前に被害者や遺族の人権が損なわれてはならないではないかという意見もあります。自分の愛するひとや家族が不条理にも命を奪われたりしたときに、果たして犯人に対して極刑を求めずにいられるのだろうか。私も犯罪被害者や遺族の方の声を聞くとき、胸が詰まります。

同時に、死刑がもたらす弊害のひとつとして、冤罪を根絶できないという歴然とした事実があります。この間も、確定死刑囚の再審無罪が確定してきました。袴田巌元死刑囚も刑の停止と釈放が認められ、現在は再審開始を求めて係争中です。

冤罪による死刑執行は他の刑罰と違って、絶対に取り返しがつきません。この間の冤罪事件を振り返っても、捜査官の恣意的な取り調べにより容疑者が嘘の自白をした事例が数多く見受けられます。国家権力によって無辜の命が奪われることがあってはならないことは当然です。

駐日欧州連合代表部のフランチェスコ・フィニ公使から、諸外国では文化や宗教の違いに関わりなく、多くの国が死刑制度を廃止しているか、執行を停止していること、死刑制度の存続が凶悪犯罪を抑止することにつながらないことや、また廃止したことによって同様の犯罪が増えているという事実がないとの報告もありました。

私自身、日本で初めての確定死刑囚となり、無罪を主張しながら死刑が執行された福岡事件の西武雄氏を支援してきた生命山シュヴァイツァー寺の古川龍樹住職と出会う中で、死刑制度をめぐる是非について強い関心を寄せてきました。

死刑制度の廃止に向けては、乗り越えていかなくてはならない課題が山積しています。日弁連も求めているように、仮釈放のない終身刑の創設や、諸外国に比べても不十分な犯罪被害者と遺族への救済制度の改善などの要素も十分に周知したうえで国民的な議論を起こすことが必要です。圧倒的多数の国民理解と合意に基づいて進めていくことが大切ではないでしょうか。

今回はとても貴重な報告を聞くことができました。