活動報告

盗聴大改悪・刑訴法改定案に対する反対討論

[活動報告]2016/05/21 更新

5月20日、衆議院法務委員会で刑訴法改定案の審議。質疑と討論に立ったのは日本共産党だけでした。一緒にたたかってきたみなさんのことを思い浮かべて全力でのぞみました。

      【盗聴大改悪・刑訴法改定案に対する反対討論】

 私は日本共産党を代表して、盗聴法の大改悪など、刑事訴訟法等改定案に反対の討論を行います。本法案は、我が国・刑事司法の大問題であった、冤罪の根絶と違法な取調べをなくすことを目的としたものではなく、盗聴法の大改悪と、司法取引を柱にした憲法違反の治安立法であることが、参議院での質疑、そして本日の質疑を通じて、いっそう明らかになりました。
 衆参の参考人として出席した布川事件・冤罪被害者の桜井昌司さんは、「私たち国民がどれだけ冤罪に苦しんだら、冤罪をなくす法律をつくってくださるのでしょうか」と涙ながらに訴えました。これら国民の怒りに背を向け、成立を図ろうなど、断じて許されるものではありません。

 反対理由の第一は、盗聴法の大改悪です。
 憲法は、通信の秘密、プライバシー権の保障、刑事手続きにおける令状主義を定めおり、現行盗聴法はそもそも憲法の規定を乱暴に踏みにじる法律です。
 それに加え、本法案は、対象事件を大幅に拡大するだけでなく、不正な盗聴を監視していた通信事業者の常時立会い義務までなくし、全国の警察署内に於いていつでも盗聴できる制度にしています。
 緒方靖夫宅盗聴事件について、今なお、非合法盗聴の事実さえ認めず、謝罪もしない警察に、盗聴捜査を拡大・日常化させ、国民の通信の秘密を盗み聞きさせる権限を大幅に与えることなど、断じて認めるわけにはいきません。

 第二は、取調べの部分的な録音・録画の危険性です。可視化の対象にならない別件で逮捕された場合、起訴後拘留中の可視化対象事件の取調べや、任意同行の下での取調べは、録音・録画の義務とならないことが法務省答弁で判明しました。取調官の裁量によって、可視化されない仕組みも温存されたままです。
 全事件、全過程での録音・録画でなければ、捜査機関側の違法行為や恣意的な編集を防ぐことができず、運用次第ではあらたに冤罪を生み出してしまうことが明らかになったことは、極めて重大です。

 第三の理由は、自らの罪を免れるために、他人を罪に陥れ、引っ張り込む危険を本質的に持っている司法取引を盛り込んでいることです。密告者の氏名住所を公判においても相手側弁護人に隠し、防御権を侵害しうる仕組みも新たに判明しました。
 冤罪被害を大量に生み出してきたアメリカの経験に全く学ばない姿勢は、衆議院における参考人から「愚の骨頂」と痛烈に批判されたように、許しがたいものだと言わなくてはなりません。

 最後に申し上げます。本法案が衆議院に提出された昨年3月以降、冤罪被害者をはじめ、多くの市民、弁護士、学者・研究者が反対の声を上げ、国会内外で無数の集会を開き、その危険性を訴えてきました。本法案は廃案にし、国民ための真の刑事司法制度改革を行うことを強く求めて反対討論といたします。