活動報告

公判証拠は誰のモノ?DNA冤罪事件を追及

[活動報告]2016/04/03 更新

4月1日の法務委員会では、鹿児島強姦冤罪事件での科捜研のDNA型判定のずさんさと適正な証拠のあり方について警察庁、法務省をただしました。

2012年に起きたこの事件では、当時20歳だった岩元健吾さんが逮捕されました。被害女性の胸についた唾液が岩元さんのDNAと一致したこと、女性の体内から精液が確認されたことが起訴の決め手とされました。ただし、精液は微量だったためDNA型鑑定は不能との鑑定書が鹿児島県警科捜研より出されていました。

控訴審では、高裁宮崎支部が証拠の再鑑定を依頼。依頼を受けたのは日本大学医学部法医学教授、DNA型判定の権威である押田茂實博士でした。押田博士によると、「簡単」にDNA型が判明。しかも犯人とされた岩元さんとは違う型のDNAが出たのです。

今回質問するにあたり、押田茂實博士の事務所を訪問し、DNA型鑑定のあり方などについて詳しくお話を聞くことができました。「精子が確認されているのにDNA型鑑定ができないなどありえない」と押田博士。足利事件や東電OL殺人事件の教訓が生かされていないとも言われておられました。

控訴審で裁判長は「科捜研技術職員の鑑定技術が著しく稚拙か、被告とは違う型のDNA型が出たことをもって検察側の意向を受けて虚偽の報告をした可能性を否定する材料すらない」と断じられました。懲役4年の一審判決を棄却。検察も上告を断念し今年1月12日に岩元さんは晴れて無罪となったのです。

しかし、犯人の汚名を着せられ、2年4カ月もの間拘留された大切な時間と苦痛は取り戻すことができません。最初から外部に再鑑定を依頼するなど、適正なDNA型鑑定がなされていれば防ぐことのできた冤罪事件だといわなくてはなりません。

私の質問に対し警察庁は「資料が微量のため再鑑定すると消滅する恐れがあったので再鑑定を控えた」と言い訳をしました。しかし、押田博士の再鑑定により、第三者のDNA型が検出されたことを知ると、検察は裁判所や弁護側にも告げず、内緒で資料を再再鑑定しており、しかもその「証拠」を大阪まで運んだのが第一鑑定人だったのです。私は「裁判の当事者主義にももとり、警察が意図的に証拠をねつ造することのできる環境にあったのではないか」と批判しました。

法務省刑事局長も「裁判所に告げず補充証拠を集めることはあるが、証拠が消滅する恐れがある場合などは不適切との考えもある」と答弁しました。

国民の税金を使って集められる証拠は国民共有の財産であり、捜査機関側だけに独占させてはいけません。裁判所における証拠の保全体制や、弁護側からも証拠にアクセスすることを容易にするなど、ルールづくりが必要だと法務大臣に求めました。そして、今回「稚拙」とされた科捜研や、押田博士の研究機関などを法務委員会として視察することを提案。後刻、理事会で協議することとなりました。

これからも冤罪を生み出すことのない法務行政、警察行政を求めて頑張ります。